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「これはいったい…」

「これはいったい

 

「信勝殿──。回りくどい言い方はせず率直に申し上げる。

我ら大和守(清洲織田)家としても、あのうつけ者の家督継承については甚だ遺憾に思うておりまする」

 

信友の言葉に、信勝はスッと眉をしかめた。

 

「こちらの心は報春院殿、柴田殿ら重臣たちと同じ。一刻も早く信勝殿に弾正忠家を継いでいただき、織田一門を立派に纏め上げてもらいたいのです」

 

「そんな……困りまする、信友様までもが左様に仰せられてはっ」Complete Guide: Company Incorporation in Hong Kong

 

「何が困る事があるのです!? 兄弟の別など関係なく、より優れた方が家督を継ぐ。それがこの戦国の世の習いではございませぬか。

 

亡き信秀殿が最後まで廃嫡をお認めになられなんだ故、うつけと謗(そし)られる信長殿が奇跡的に家督を継がれましたが、

 

本来ならば信勝殿が嫡男の座を与えられ、父上の後を継がれていても可笑しくはなかったのですぞ!?

 

……そう申されましても、既に家督は兄上が継がれております故、わたしの出る幕では

「奪い取れば良いだけの話ではございませぬか」

 

信友はさも当たり前のように告げた。

 

「信長殿から当主の座を奪い、あなた様がその座に就く。これほど簡単な話が他にござろうか?」

 

「無茶を申されますな。わたしは兄上から当主の座を奪うつもりはございませぬ。第一、兄上とて納得なされますまい」

 

「納得?」

 

「左様です。我々が説得に当たったところで、あの兄上がそう易々と当主の座を手放すとは思えませぬ」

 

信勝が渋面を作りながら言うと、いきなり信友は堰を切ったように笑い出した。

 

「何を言い出すかと思えば、あのうつけ者を説得するなどと。面白い冗談を申される」

 

笑い涙を指先で拭いながら、信友は悪鬼の如く微笑むと

 

「説得のような回りくどい真似は不要。ただひたすらに、信長殿を討つ事だけをお考え下さいませ」

 

そう平然と言い放った。

 

「兄上を討つ!?

「左様。それ以外に、確実に当主の座を奪う方法はござらぬ」

 

「な、なれど母上は、兄上の死を望んでなどおられませぬ!あくまでも兄上が自ら座を退くようにと」

 

「はっ、これだからおなごは甘い」

 

信友はすかさず立ち上がり、信勝の真っ正直へと座り直した。

 

「そのような情に惑わされておる故、いつまでたっても事が運ばぬのです!

 

信長殿は兄でも身内でもない。あなた様が討ち取るべき敵だとお思い召され」

 

「兄上を敵などと、そのような事!」

 

「思いとうなくても、信長殿はいずれあなた様の敵となる日が来るのです。

 

報春院殿や重臣たちの反感が更に高まり、信長殿に謀反を疑われるような事態にでもなれば、逆にこちらが討たれるかも知れないのですぞ」

 

「馬鹿なっ、有り得ませぬ!」

 

「いえ、有り得る事なのです。信勝殿とてご覧になられたでしょう?信秀殿の葬儀の席における信長殿のお振る舞いを。

 

唯一自分を信じてくれていた父親の位牌に、あろうことか抹香を投げつけられたのじゃ。

 

信長殿という男が如何に愚かで、情の薄い人間か、あの一件でようくお分かりになられたはず」

 

信勝は思わず返す言葉を失った。

葬儀の席での信長の振る舞いは実に無礼極まりなく、品と秩序を重んじる信勝にとっては、正直理解し難い行いであった。

 

それ故、あの兄に一瞬失望を覚えたことも確かだった。

 

しかしだからと言って、それが信長討伐への思いに結び付くのかと訊かれれば、答えは否である。

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