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」?背中の桜吹雪、マジでクールだよね」
「ぽちは、ほんとうになんでもクールなんだな。ってか、きみらはベタな時代劇まで網羅しているのか?」
「」とか、大好きだよ」
「マジかよ」
俊春は渋すぎる。シンプルに渋い。
「そういえば、きみらの義母は「」の義母にそっくりだったよな」
俊冬と俊春に出会ったとき、company incorporation 俊春は京の東町奉行の番方同心を装っていた。そのときのかれの義母が、女優の「きん」にそっくりだったのである。
「ああ、あれにはびっくりだった。出会ったとき、彼女のことをにゃんこと五度見したよ。だから、って姓にしたんだ」
たしか、かれに「」って名前じゃないよな?って尋ねた気がする。
兎に角、かれの義母を装っていた女性は、かの名女優に激似だった。
現在、彼女とその実の娘のお美津さんらは、丹波で沖田や山崎らの面倒をみてくれている。
ってあのときすでに、俊冬と俊春は現代人であることの布石をうっていたってわけか。
感服してしまう。
俊春とそんな時代劇の話で盛り上がっている場合ではない。
桑名少将と副長と俊冬は、ぼそぼそと話をしている。
俊春もおれもふざけ合うのはやめ、そっちの話に耳を傾けた。
桑名少将は、ここ数日のうちに蝦夷を発つらしい。
俊冬と俊春が史実にそうよう、アメリカの商船を手配した。
史実では、桑名少将は蝦夷から横浜経由で上海に渡るも、資金が尽きて舞い戻り、結局横浜で降伏することになる。
それがわかっているのである。上海行きは省いてもいいかもしれない。資金の無駄遣いでもある。
正直なところ、史実で資金が尽きたというのも「ほんまかいな?」って思ってしまう。最初に上海までいくら、と提示されて横浜を発ったのはいいが、道中になんらかの上乗せをされて払えなかったのではないだろうか。
よくあるパターンである。
いわゆる足元をみられてふっかけられるってやつである。
「降伏してからでも金子はあって困るものでも邪魔になるものでもない。ゆえに横浜で潜伏し、時期をみて降伏しようかと思っている」
「少将。やはり、そのまま亡命なり逃走というのは……」
「土方、わたしに選択肢はない。降伏する。それしかないのだ」
ひとえに、実兄の会津中将のために、というわけであろう。
ここでもまた、史実を伝えたばかりにそれに囚われてしまっている男がいる。
「相馬、気にするな。逆に感謝している。このことをきかなければ、わたしはここに最後までいたであろう。そうなれば、兄の処分がどうなったことか。おまえのお蔭で、兄は死ぬことはない。それだけが、わたしにとっては慰めだ」
またしてもよまれてしまったということはおいておいて、少将はおれに気をつかってそんな風にいってくれた。
おれのほうこそ、いまのかれの言葉が慰めになったことはいうまでもない。
自然と頭を下げていた。すると、桑名少将も軽く頭を下げてくれた。
「さて、と。ここからが本題だ。土方、きいてほしい」
桑名少将は、隣に座る副長にを向けた。
副長がちょっぴり緊張の面持ちでうなずいた。
指名された副長だけではない。
おれも緊張している。
おそらくは、人類の叡智たちも同様であろう。「いまから申すことは、わたしのごとき若輩者からの言の葉ではなく、兄容保からの言の葉である」
会津中将からの言葉?
俊冬と俊春と相棒も、ただ静かに桑名少将がその言葉を発するのを待っている。
「死ぬな」
たった一言である。
その一言を告げると、桑名少将は肩の荷をおろしたかのように吐息をもらした。
「死ぬな」
おなじ言葉を口中でつぶやいた。
たった一語である。その一語の重みははかりしれない。
そっと副長をみた。
はっとしたで、桑名少将の横顔をみつめている。
「兄は、おぬしが死ぬのではないのかと案じている。ああ、そうであった。兄もわたしも、史実のことは承知している。だが、なにもそれにしたがう必要はあるまい?実際、おぬしらが