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は久方振りだと、神妙な面持ちになる。
「……沖田先生を、お医者へ診せてあげて下さい」
その言葉に、土方は眉を動かした。真意を探るような視線を送る。
「ずっと咳をしているんです。口服避孕藥主要為避孕用途 仿單外使用竟能治療痘痘? あれではまるで、まるで……」
そこから先の言葉がなかなか出てこなかった。言葉にしてしまえば、本当にその通りになってしまうのではないかと思ったのだ。
土方は黒谷へ出向いたり、部屋に篭って書類を捌いたりしているせいで、あれ以来沖田とは会っていなかった。
あの咳はその場限りでは無かったのかと、土方は苦々しく目を細める。そして桜司郎が言いたいことを察した。
「労咳、と言いてえのだろう」
その言葉に、桜司郎は肩を跳ねさせる。そして小さく首を縦に振った。
「よくぞ知らせてくれた。……この話は他にしたか?」
「いえ……。副長が初めてです……」
「そうか。組長思いの良い子だな、お前さんは」
土方は優しげに笑みを浮かべると、桜司郎の頭をぽんぽんと撫でる。それは鬼の副長ではなく、江戸に居た頃の気の良いお兄さんと云ったところだ。
「この事は俺に任せろ。……しょっぴいてでも医者に診せてやるからよ」
脱衣場から出ていく土方を見送った後、桜司郎はその場に座り込む。俯くと、肩を掻き抱いては揺らした。
告げ口のような形になってしまい、沖田を裏切ることになったのではないかと後悔の念が襲ってくる。
高杉が労咳と知り、沖田にその疑念を抱いてからは色々とそれについて調べた。不治の病であり、進行を遅らせるためには静かに療養するしかないと。だが、中には自然治癒した症例が無いことは無いらしい。高杉のように、戦場の前線に身を置くことは自殺行為だった。
──沖田先生には少しでも生きて欲しい。でもこれは、私の自己満足なのだろうか。 翌日の夕方、土方は沖田を伴って島原の近くにある居酒屋へ繰り出した。
「土方さんと二人だなんて、久々じゃないですか?誘ってくれるなんて、珍しいこともあるんですね」
沖田はニコニコと笑いながら、目の前に出された膳に手を付ける。甘く煮た栗が美味しいと目を細めた。その様子はまるで江戸に居た頃と変わっていない。子どもをそのまま大人にしたような純粋さがあると、土方は苦笑を浮かべた。
「俺もお前も忙しいからな。……なあ、総司」
「何でしょう」
「俺に……何か隠していることは無えか」
その言葉に、沖田は箸を止めて真意を探るような視線を目の前の男へ送る。隠し事は二つあった。桜司郎が性別を偽っていること、そして労咳であること。
どちらかがバレても不都合だと冷静に考えた沖田は、いつものように柔らかい表情で笑った。
「……何の事ですか?嫌だな、私を疑うなんて」
最近、誤魔化すことが上手くなった自負がある。苦しさもつらさも全て抑え込んで、笑顔を作れば皆安心したように騙されてくれるのだ。
だが、土方はそれが気に食わなかったのか、更に眉を顰める。
「嘘を吐けば、士道不覚悟で腹を詰めさせるぞ」
全てを見透かしたような、鋭い視線を向ければ沖田は俯いた。
──土方さんは何か勘づいている。参ったな、どうやってこの場を切り抜けよう。
頭を絞って考えていると、肺腑がざわざわとし始めた。これは咳の発作が出る前兆のようなものだ。
「あの、へ、」
目の前で咳き込む訳にはいかないと、沖田は慌てて立ち上がろうとする。
だが、その腕を土方が掴んだ。驚いた拍子に呼吸が乱れる。
「ゲホッ、ゲホゲホッ、」