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「桂さんも入江さんも止めてください。あなた方のやり合いで一番被害被るのは三津さんなんですからね。
桂さん,三津さんのその姿見ればここに来るまでの間どれだけ心労が溜まったか想像するに容易いでしょう?
桂さんが一切連絡をしなかった間入江さんがその心労を側で軽くしたのも事実なんですから。嫉妬で三津さんを怯えさすのは止めてください。」
伊藤も三津の事になればずけずけ物申すなと思いながら桂は押し黙った。それからそっと腕を緩めて中に居る三津に目を落とした。
相変わらず眉を垂れ下げた間抜けな顔をしていた。
「少し二人の時間をもらっていいだろうか?」 https://www.easycorp.com.hk/blog/complete-guide-company-incorporation-in-hong-kong/
「確実に二人きりになりたいなら屯所出ないと無理ですよ。」
入江は私が邪魔しに行きますと言わんばかりの笑顔でそう言った。
「三津,少し散歩に出ようか。」
「あっでも……。」
今日は女中の仕事を何一つしてない。夕餉の支度ぐらいはとセツを見た。
「大丈夫やけぇ行ってき!今まで一人でやっちょったんや何も気にする事ないっちゃ。」
セツに許しを得て三津は桂と二人で屯所を出た。桂の背中について近くの海岸までやって来た。
「転けないようにね。」
石の多い歩き難い浜辺でごつごつした岩場の多い場所だった。桂は座りやすい岩に腰を下ろして三津を自分の膝の上に乗せた。
「本当に……前より軽くなってる。」
頬もほっそりしてしまった。柔らかさは健在だが弾力は前より落ちた。
「苦労をかけた……。」
「そうでもないですよ?捕まらないように殆ど閉じこもってた以外は何とか。みんな居てくれましたし。
あ,おじちゃんもおばちゃんも宗もみんな無事で元気です。
途中文が来なくなったのが一番不安で寂しかったですけど。」
桂は無言で三津を抱きしめた。
「小五郎さんはどんな生活をしてたんですか?」
「とにかく地元の住人に馴染んで何食わぬ顔して暮らしてたよ。」
桂は多くを語らなかった。出石がどんな所かぐらいはもう少し詳しく聞けるかと思ったのにそれが叶わず三津の胸の奥には不安だけが残った。「本当に九一とは何もない?」
「ないですよ!まぁ……九一さんはめっちゃ耐えてはりました……。私が傷つく事はしないって約束してくれてそれを守ってくれてます。」
『なるほどね。強い信頼関係を築いた訳だ。』
信頼関係はある意味薄っぺらい愛情よりも堅い。桂には入江の手段が見えた気がした。もしかするとそれはもっと前から作られ始めていたんじゃないか。
だとすればそれは非常に厄介だ。
「三津にとって今の九一はどんな存在だ?玄瑞が兄だったように九一にはどんな役割を当てはめている?」
「んー兄上とはまた違って優しいし相談にも乗ってくれる頼れる人?ですかね。」
『しっかり土台を作ってたか……。したたかな奴だ。』
おまけに屯所では山縣を利用して周りから固めに入っている。三日で周囲に三津を嫁と認識させてるその恐ろしさ。
「三津が愛してるのは私だよね?」
「そうですよ?……もしかして疑ってはるんですか?私がどんな思いで過ごして何でここまで来たか分かってくれないんですか?」
それはあんまりだと三津は目を真っ赤にした。
「違う!そうじゃなくて……すまない。でも泣くのは狡い……。」
「狡いって何よ!向こうでの自分の事全然話さへんのに人の事ばっか気にして!狡いの小五郎さんの方やないですか!」
三津は酷い酷いと桂の胸を叩いた。せっかく会えたのにこんな再会あんまりだ。
「すまない……。泣かないで……。」
伊藤に余計な嫉妬で傷付けないようにと言われたとこなのにやってしまった。
両手で顔を覆って泣く三津を抱きしめてごめんごめんと謝る事しか出来なかった。
「あーやっぱり泣かしちょるー伊藤の言う通りやな。」
「赤禰君か……。何の用だい?」
いつの間にかすぐそこに立っている赤禰を一瞥した。
「入江と伊藤はセツさんの手伝いするけぇ代わりに見て来いって。多分泣かしちょるやろうからその時は三津さん保護しちゃってって言われたんで。上手くやってたら何しよったか偵察しろと。
んで三津さん泣いちょるんで保護します。三津さんおいで。」
赤禰が声をかけると桂の抱きしめてくる手を退けて三津が顔を出した。赤禰が微笑みかけておいでおいでと手招くが桂がまた三津を腕に閉じ込めて顔は胸に埋めさせて隠した。
「悪いが三津とは上手くやっている。その場合は何してるか偵察だったか?じゃあよく見てたらいい。」
桂は三津の顎に手を添えて上を向かせ唇を重ねた。