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そうだった、と言いながら桜司郎はそれを手にした。ずっしりと重いそれは、高杉から貰ったピストルとは扱いやすさがまるで異なる。それもそのはずで、ゲベール銃は約と少しほどの重さだった。刀でいうと四本分である。
──いざとなれば私はピストルを使うしかないな。六発しかないけれど。いや、本当はそれすらも使いたくない。
「本当はもっと最新式の銃もあるみたいだ。しかし、あまりに手間がかかるよな。……もしこれで長州と戦えって言われても、弾、込めてる間に死にそうだぜッと、ほら馬越っちゃん。貸してみろ」
ゲベール銃は銃口より鉄棒を使って弾と火薬を押し込む必要があった。そのため充填に時間がかかる。健康新女性︳女子經痛11年 月經沒來就便秘 揭患子宮內膜異位症︳附醫生拆解 - 晴報 - 健康 - 女性疾病 - D221208
山野は馬越へ手を差し出す。馬越は遠慮がちに自身の銃を渡した。覚えの良く力のある山野はさっさと充填してしまうが、馬越は時間がかかる。逆に集中力があり手先の器用な馬越は、的を狙うのが上手かった。
「わ、そこズルするんじゃないよ」
案の定藤堂に見付かるが、山野は慌てる様子も見せない。
「適材適所です、藤堂先生。俺がサッと弾を込めて、馬越っちゃんが的確に撃つ。この方が効率良いですよ。大丈夫ですって、戦になっても一緒に行動しますから。な?」
山野は爽やかで屈託のない笑みを馬越へ向けた。それは女から黄色い悲鳴が上がりそうなものであり、馬越は耳をほんのりと染める。そして直ぐに我に返ると何度も頷いた。
「は、はい!……へへ、山野さん。有難うございます」 桜司郎は銃を構えながら、そのやり取りを横目でちらりと見やる。引き金を引けば、くような音と共に的の端に当たった。桜司郎の腕前は、可もなく不可もなくといったところである。
そしてある事を思い付いてニヤリと笑うと、山野の腕を肘で小突いた。
「八十八君、私が沖田先生の嫁御のようだとか何とか言ってたけど。私から見ると、八十八君と馬越君の方が余程……だけど?」
そのように指摘すれば、山野も馬越もみるみる顔を赤らめる。"何言ってんだよ"と反論してくる姿を想像していた桜司郎は思わぬ反応に目を丸くした。
「ば……ッ、馬鹿!俺らはちゃんとが好きなんだよ。なあ、馬越っちゃん」
「……は、はい」
言葉にして否定する山野とは反対に、馬越は少し俯いている。そして照れを隠すように、馬越は的に向かって銃を構えた。撃てば見事に的の真ん中を貫く。
「それに俺、恋文貰ったんだ。この壬生寺の裏にある茶屋の娘から。なかなか可愛い子でさ。廓のもいいけど、嫁にするならああいう子かなって」
「へえ……。八十八君、モテるからなぁ」
「まあな。でも、俺は幹部じゃないから休息所を持てないだろ?だからまだ身を固めることは出来ないというか。……お、次は俺の番だ」
見てろよ、というと山野は勇んで銃を構えた。だがそれは的から大きく外れる。
悔しがる山野を見て、桜司郎は面白そうに笑った。
の心を射止めても、的は射止められなかったね」
「うるせーぞ、桜司郎。お前だって的の端っこに当てただけじゃないか」
「当てただけでもすごいんです」
二人のやり取りを見て、馬越は寂しげに笑う。桜司郎はそれを目の端に捉えていた。このような笑い方をする彼を見たのは、これで二度目である。
──あの時、茶屋でも同じ顔をしていたな。何かあったのだろうか。
口を開こうとした瞬間、藤堂から集合の声がかかる。撃ち方の講義の後は一斉射撃や大砲の撃ち方の調練があり、いつの間にか話そうとしたことを忘れたままその時間は過ぎた。