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翌朝桂を見送る筈だったのだが,
「私もですか?」
「あぁ,急で申し訳ないが一緒に来てくれ。」
よく分からないが三津は桂について藩邸へ。
中に入れば誰もが桂に向かってきちっと礼をして挨拶をする。
そして後ろに居る三津にも深々と頭を下げる。https://www.easycorp.com.hk/blog/complete-guide-company-incorporation-in-hong-kong/
「……もしかして私関わったら危ないヤツって思われてます?」
「ふふっ乃美さんに怒鳴り散らす女子は居ないからねぇ。」
笑いながら桂はある部屋の前で止まった。
「ちょっといいかい?」
声をかけると直ぐに戸が開き中から顔を覗かせたのは吉田だった。
「えっ本当に連れて来たんですか?」
吉田にしては珍しく狼狽えて桂と三津を交互に見た。
「いい案が浮かばなかった。ちょっと乃美さんと話してくるからその間三津を頼むよ。」
そう言って三津を吉田の部屋に放り込んだ。
『心配だが仕方ない……。』
ひとまず早く話を終わらそうと桂は乃美の元へ急いだ。
「私なんで連れて来られたんでしょ?」
「あぁ……昨日土方と斎藤に出くわしたんだよ。」
三津の座る場所を作るべく敷きっぱなしにしてた布団を畳みながら答えた。
「えっ!?大丈夫やったん!?」
「だからちゃんと帰って来てるだろ?だけどやっぱりお前と桂さんの行方を探してる。桂さんが出てる間に三津に何かあったら困るからね。それで今日連れて来たって訳。」
吉田は布団を除けて胡座をかき三津にも座るように畳を指でトントンと叩いて促した。
「そっか。土方さんと斎藤さんか……。」
「桂さん強いからアイツらくらいどうってこと無い。何なら後で手合わせ見せてあげるよ。それ見たら惚れ直すよ。」
『俺に。』
なんて心の中で言ってみるも敵う相手ではないし三津も桂しか見てないだろうから期待はしていない。
そんな事を考えていたら三津が何やらそわそわしだした。
「どしたの?」
「ん?いやぁ吉田さんの部屋なんやぁって思って……。その……吉田さんの匂いがするから。」
「ふーん……俺の匂いね。それって俺に抱き締められてる時と同じ感覚?もしかして何か期待してる?」
口角を上げて妖しい笑みで詰め寄れば三津は顔を真っ赤にしてぶんぶん首を横に振った。
それを見てくすくす笑いながら更に詰め寄った。勢い良く廊下を走る足音。それが部屋の前で止まる。
「おはよーございまーすっ!!!」
豪快に障子を開け放して伊藤が声高らかに中に踏み込んだ。
「伊藤さん元気ですねおはようございます。」
三津は子供みたいと笑って頭を下げた。
『抜かりないね本当に。』
吉田は軽く舌打ちをして伊藤を睨んだ。
「何だ伊藤の騒々しさは。」
乃美が眉間に皺を寄せて障子の方を睨んだ。
「後で私から言っておきますよ。それで三津なんですが……。」
「あぁ,土方と斎藤が彷徨いてるなら用心するべきだな。藩邸に置いておくのは構わん。女中らの仕事でも手伝わしておけばいいだろう。」
「それが土方から受けた拷問で左手が思うように使えなくなってます。全く動かない訳ではないのですが女中の仕事は務まりません。」
「そうだったか……。ならば小姓として置くか?お前の側には置かんがな。」
流石にそこは弁えてると桂は苦笑した。
「玄瑞は危険人物なんで論外。となると乃美さんか入江になるのですが。」
「吉田は……あぁ,アイツも現を抜かすから論外か。今日は私も外へ出るから入江が妥当か。」
「そうですね。それに稔麿には責任を感じさせない為に左手の事を伝えてませんので内密に。
では今日のところは入江の小姓とさせていただきます。」
その決定を伝えるべく二人が廊下に出ると騒々しさが増していた。
「何の騒ぎだ。」
乃美が不快感を顕に伊藤を捕まえて問いただした。
「誰が三津さんの世話を焼くかで揉めてます……。」
伊藤が溜息をついて一瞥した先にはいつもの三人が三津を囲んで揉めていた。